日程 | 平成26年5月18日(日) |
---|---|
球場 | 広島瀬戸内シニア専用球場 |
|第1試合:VS 高川学園 【天候】晴れ【時間】9:18~11:14
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
瀬戸内 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 6 | 14 |
高 川 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 3 | 7 |
日程 | 平成26年5月18日(日) |
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球場 | 広島瀬戸内シニア専用球場 |
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 計 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
瀬戸内 | 2 | 0 | 1 | 0 | 2 | 0 | 6 | 14 |
高 川 | 0 | 0 | 0 | 2 | 0 | 2 | 3 | 7 |
12月15日(日)に広島瀬戸内シニア球場にて、恒例のOB戦が行われました。
忙しいスケジュールを縫って参加して下さいましたOB選手の方々、本当にありがとうございました。
また、午後からは感動の卒団記念式が開催されました。
今年も涙あり…笑いありの、とても心に残る最高の記念式でした。
1年生の頃は…
いつも目を伏せがちで…自信のないような目が印象的で…
「コイツ…大丈夫かのぅ」といつも心配じゃった。
でもお前が最上級生になり、塾長賞を貰った辺りから…
お前の手のひらを見て心が震えたよ。
通弥。お前が打てなくて悩んでいた時、俺が言った言葉…まだ覚えているか?
「なにワレ、知ったげに手袋なんかしとんな?手袋とって手のひら見てみぃ!!
ワレみたいな半人前が頭で考えようとしょうるけん打てんのよ!!
何十回、何百回でそがな手の平になるんか?! 何千回、何万回と素振りしとるけん、そがなズルズルのボロボロの手の平になるんじゃろうが!!
なら、知ったげに無いアタマで考えんな!!
手袋なんかでお前の努力を隠しよるようじゃ、一生打てるかい!!
悩んだら素手よ!!素手で打たんかい!!
感覚はアタマじゃなしに、その手の平が覚えとるわい!!
この若さで小手先勝負すな!! がむしゃらに真っ直ぐやらんかい!!」
通弥。お前の手の平は…まじハンパないんで?!
そがなエグい手の平しとるヤツなんか、そうそうおらんわい(笑)
お前なら出来る。胸を張って前を向き…そして自信を持て。
お前の歩んだ道。お前の血の滲むような努力。
お前の…中学3年間は…そのボッコボコの「手のひら」が全て覚えている。
また道に迷った時は… その手のひらに答えを聞くんだぞ!!
通弥!! 卒団本当におめでとう!!
人一倍「性根なし!!」「根性なし!!」と、色んな人から叱咤され…怒られ…
そして人一倍… 愛されてきたのぅ…
お前を語れば…誰もが下関大会の「あの涙」を語るけど…
わしは違うのぅ
わしはやっぱり…友哉といえば「三つの尾道戦」じゃわ。
新チームになって、初めての公式戦大会の秋季大会一回戦で…
お前は尾道シニア相手に火ダルマになった。
9-0という…屈辱的なメッタ打ちで…ボッコボコにされた。
ほん……っまに… 見事にボロボロにされたよの(笑)
でも、あの大敗で… お前は変わった。
歯を食いしばり、奢りや自己満足を捨て、とにかく愚直に…どん底からお前は這い上がった。
そして、神宮予選の準決勝… 卒団大会の一回戦…
お前はマウンド上で、踊るようなピッチングで躍動した…
卒団大会の試合が終わって… 宗光くんをはじめ、尾道シニアの選手たちが笑顔で駆け寄って来てくれて…
お前に握手をしてくれたろ…?
あれはようやく… みんなが「秋のお前」ではなく「今のお前」を認めてくれた証じゃったんで…
あの時のお前の… あの時のお前らの笑顔を…
俺は一生忘れない。
友哉!! 卒団本当におめでとう!!
最初はピッチャーから始まって… キャッチャーもやり… 内野をやり…
そして、最後はチーム事情もあって、ぶっつけ本番の外野手で卒団したのぅ(笑)
「サモン」と言えば、呉の同年代で知らんもんはおらんくらい有名で…
いつもいつも、イイ意味でみんなから注目されてたよなぁ…
イタズラ好きで… 人の失敗やおちゃらけが大好きで…
その風貌には似合わないくらい繊細な心の持ち主で…
でも、人一倍、野球に対しては真面目で…
曲がった事が大っ嫌いな、仲間想いの、心が優しい子だった。
その恵まれた体型を生かし、誰もが羨むほどのパワーを生かし…
高校に上がっても「呉のサモン」で大暴れしてくれよ!!
冴門!! 卒団本当におめでとう!!
ヒデと一番最初に出会った時は…
通弥と同じような、どこかオドオドしたような目で…
メジカラもなく… いつも自分に自信のない表情だった印象を覚えてる。
抜群の野球センスがあるのに…
いつも何かに怯え… エラーをしては… 凡打をしては…
いつもいつも下をうつむき…
広くて青い、空を見上げる事はなかった。
それがいつの頃からだろう…
お前の表情に笑顔という名の花が咲き…
キョロキョロと落ち着きのなかった眼球が… とても鋭くなったのを今も忘れず覚えてる。
もう二度と…下をうつむくなよ。
どんなにツラい事があっても…
この3年間、お前が見上げ続けた、あの広くて青い… 空の色を忘れるな。
秀利!! 卒団本当におめでとう!!
ケンちゃん!! ケンちゃん…
お前の周りには、いつもいつもこんな声が飛び交っていて…
お前の周りには、いつもいつも…たくさんの花が咲いていたなぁ…
色んなコトがあって…ケガで泣かされ…
結局、最後までマウンドに上がる事は出来なかったけど…
北海道のマウンドで、嬉しそうに投げていたお前の顔がとても印象的だった。
お前に限った話じゃないけれど…
お前だけは!! 本当に「周りの人」に心から感謝して欲しい。
今まで支えてくれた「仲間たち」に…
今まで支えてくれた「保護者の方たち」に…
今まで色んなコトを教えててくれた「監督コーチ」の皆さんに…
そして…
今までお前から野球を奪わなかった…「大切なヒト」たちに…
心の底から「感謝」して欲しい。
高校に上がったら、もう誰ひとりとして「ケンちゃん!!」って呼んではくれない。
やんちゃで… 意地っ張りで… 斜に構えたお前を理解し、守ってくれるヒトは…
もういない。
だから今度こそ!!
お前の足で立ち上がれ!! お前だけの根性で乗り切れ!!
そして…
今まで「生かされてきたこと」に…
心から感謝し、野球を続ける事で恩返しをしなさい。
大きく成長した「健太郎」に逢える日を…楽しみに待っている。
健太郎!! 卒団本当におめでとう!!
本当に努力家で… いつも自分の進む道を信じ…
そしてその道に誇りを持った子だった。
後半はやっぱり…中学生特有の思春期に、自分を見失いそうになりかけたけど…
それでもお前はチームで一、二を争うくらい… ちゃんと挨拶の出来る、礼儀正しい子だった。
お前の姿を見ていて、いつも心に思う事があった。
お前には初めて言う言葉だから、ちょっと照れくさいけど(笑)
お前の姿を見て、イチロー選手の言葉を思い出したよ。
それは…
「ルーティンを大切に。ルーティンだけは裏切らない。一流はルーティンを怠らない」
と言う言葉。
色々あったけど… お前だけはこの3年間。そのルーティンを貫き通した。
打席に入る前のルーティン…
打席に入ってからのルーティン…
打席を終えてからのルーティン。
この3年間、何があってもその「ルーティン」を貫き通したのは…
お前だけだったような気がする。
これから先、高校に上がっても厳しい道は続くだろう。
前途多難な日々もあるだろう。
でもお前は、持ち前のその「明るさ」と、自分の信じた「ルーティン」を怠る事なく頑張って欲しい。
まぁ…不器用で…
まぁ…野球センスのないヤツで…
まぁ…不思議なくらい、純粋で…
まぁ…
周りに「笑い」と「元気」を与えてくれる子じゃったよ(笑)
何が「今」で、何が「今どき」かは分からないけど…
お前ほど「今どき珍しい子」という言葉が当てはまる子はおらんよ。
お前も健太郎と一緒。
高校に上がったら、お前のそのキャラやお前を理解してくれる環境じゃなくなるかも知れん。
だからやっぱり「お前の手」でチャンスを掴め!!
お前のチカラで、茨の道を歩め!!
そして…
世の「今どきのヤツら」に「今どき珍しい子」の素晴らしさを教えてやってくれ。
拓巳!! 卒団本当におめでとう!!
滉斗… よぉ~~やく♪ お前とのお別れの日がきたのぅ(笑)
お前と初めて逢ったのは…もう8年くらい前になるんかのぅ…
お前が小学校2年生のときかぁ… もうそんなになるんかぁ…
チビでのぅ…ほっぺたプクプクでのぅ…
今じゃ考えられんくらい「がんぼたれ」じゃったのぉ~
お前との想い出話を語り出せば、どんな長文になるんか分からんわい…
じゃけ、このコトだけ…お前に伝えちょくわ。
滉斗…
もうエエ子ちゃんにならんでええ。
あの頃の「がんぼたれ」に戻れや。
小学校のソフトボールチームを卒団する際…
お前の名前の由来でもある、ブルーハーツの「ある曲」に例えて、わしがお前に言うてやった言葉…まだ覚えとるか?
「ヒロト。お前は負けん気が強いのは解るが、ちょっと人に厳しすぎる。
これから人の上に立って野球やってくなら、お前はもう少し人と調和せぇ。
これからのお前のテーマは、お前の大好きなブルーハーツの曲。
「人に優しく」。解ったか?」
お前がわしの言う事を聞いてかどうかは知らんが、お前はホンマに優しゅうなった。
人間も、性格も、丸う丸うなった。確かに人に優しゅうなった。
と…同時に。 自分にも優しゅうなった。
野球人として。コレは絶対にいけん。自分に優しゅうなったら…絶対にいけん。
ヒロト… 高校に上がったら…
「人に優しく、自分に厳しくなれ」
滉斗!! キャプテンよう頑張ったの!!
卒団本当におめでとう!!
19期生の選手諸君。
そして保護者の皆さま、短い間でしたが本当にお世話になりました。
皆さまのご活躍をチーム一同、心より応援しています!!
卒団本当におめでとうございました。
第19期生のご紹介はこちらから。
今日は呉中央シニアさん主催の大会がありました。
我らが広島瀬戸内シニアは虹村球場において、広島安芸シニアBさん、関西連盟西部支部所属の岡山西シニアさんとのグループで予選を戦いました。
ここ最近の我がチームは、走・攻・守…
全てにおいて「精彩」を欠き、全てにおいて「覇気」が足りない、まさに「不甲斐ない戦い」が続いている。
前回コラムの「始まりと初まり」にも書いたように、君たちの中に「奢り」と「慢心」さえなければ、正直、君たちはこんなとこでグズグズと燻り、毎回毎回、煮え湯を飲まされるようなチームではないはずだ。
じゃあなぜ君たちは勝てないのか。
その答えを、今日の試合で垣間見たような気がする。
君たちには「なにくそ魂」「なにくそ根性」がないのである。
君たちの中に、昨夜の両国国技館で行われた、ロンドン五輪ボクシング男子ミドル級金メダリストの、村田諒太選手のノンタイトル戦を観た子はいるだろうか?
本当に強いヤツ。
本当に負けたくないヤツ。
本気で頂点に立ちたいと思ってるヤツは…
彼のように、ぜっ………たいに!! 後ろに退かない!!
一発打たれても、あごを突き出し前に出て。
一発貰ったら、必ず二発三発と、相手の顔面目がけて拳をブチ込み前にゆく。
なにクソ!! なにクソ!! と吠えながら、ただひたすら前に出る。
格好など気にせずに、周りなど気にせずに、殴られた相手の目だけを睨み返し…
腹の底から、雄叫びをあげて、渾身の拳を握り締めて前にゆく。
呉中央シニアさん主催の招待試合大会…
勝っても何の挑戦権も掛かっていない、ただの招待試合大会…
それでも君たちは、恒常的に予選敗退を繰り返してゆく、今の「不甲斐ない戦い」の毎日に「嫌気」がさしていたはずだ。
だから君たちは、何が何でもこの大会の予選を勝ち、翌日の決勝トーナメントに駒を進め「広島瀬戸内ここにあり!!」という「なにくそ精神」を、他チームに見せたかったはずだ。
12月7日(土)、広島瀬戸内VS岡山西の予選第三試合…
この試合に勝った者が、明日の決勝トーナメントに出場することができる。
試合は両チーム、序盤の点の取り合いから落ち着きをみせ、4-2という2点ビハインドで迎えた7回表の最終回。
この回先頭の中村靖太、そしてネクストの榎 粋世、岩本啓吾、岡本 空、そして、主将で主砲の山本に大きな声で檄を飛ばした。
「この回… この試合!! この最終回!! 神宮予選決勝戦の最終回じゃ思うて性根入れて来い!! ワレらのなにくそ根性、みしてみぃ!!」
そしてこの回…
こんなら、ホンマに逆転してくれた。
6回かかって2点しか取れなかったクソったれどもが…
「つなげる!!」「転がす!!」の精神だけで、5点をもぎ取った。
すごい嬉しかった。
この子らの「底力」と「なにくそ魂」を感じた。
そしてその裏…
3点差を守り切れんかった。
久々に子供たちの試合で、悔し涙が出そうになった。
2点ビハインドをひっくり返し、更に3点差をつけた7回裏の最終回…
岡山西の怒濤のごとく繰り出してくるジャブの応酬に…
「負けるか!!こら!!」と、闘志剥き出しで、前へ前へと向かってくる岡山西ナインのプレッシャーに…
お前らはガードを固め、下をうつむき… 足を止め…
そして、後ろへ後ろへと退き… このケンカ勝負から逃げた。
一樹…
お前が背中に背負っている「1番」は、単なる縦の棒なのか?
エースのプライドと、エースの重みをお前は感じ、あのマウンドに上がっているか?
雄叫びを上げ!!咆哮し!! 握り拳を突き上げながら相手打者に向かってゆく…
あの田中将大投手の姿に、お前は心を動かされたことはないか?
カッコイイ…!! と、熱いモノが込み上げてきたことは… お前にないか…?
武蔵…
お前が何十球…何百球と受けている「エースの球」に、お前は何も感じなかったのか?
ミットの奥に痺れる球の異変… 変化球の角度…キレ… 球の勢い…
そして… 一球一球伝わってくる「一樹の不安」と「一樹の弱気」
お前は、その異変に気付きもせず、ただマウンドのエースにボールを返し続けていたのか…?
お前が被る、青いプラスティック格子の向こう側に…
負の匂いと… 浮き足と… 迫り来る「危険」という名の空気を… お前は感じ、そして読めなかったか…?
お前は… 本当に「一樹の女房」なのか…?
女房なら!! 旦那が倒れそうな時、支えてあげなさい。
女房なら!! 旦那の異変や、旦那の全てを誰よりも理解してあげなさい。
そして… お前がこの家(チーム)の扇の要なら…
仲間の異変、仲間の不安、仲間の弱気、仲間の奢り、仲間の慢心にいち早く気付き…
お前がその青い格子を取って「顔」を見せ、仲間たちの元に駆け寄って「間」を取りに行ってあげなさい…
お前がこの家族(チームメイト)の女房役なら!!
彼らを全力で守りなさい。
陰になり…日向になって、エースを、仲間を、全力で守ってあげなさい。
それがこの野球で唯一、仲間たちの顔を見渡せる場所に座ることを許された…
この家(チーム)の司令塔なんだから。
お前が最終回にやってきたことは…「ただのキャッチボール」であって…「リード」じゃない。
座って投げて、座って投げて… 旦那ひとりを「孤独」にしていただけ。
お前が誰よりも旦那のことを解ってるんだったら…
お前しか、旦那のことを理解してあげることが出来ないんだったら…
お前が旦那ひとりを苦しめちゃダメだ。
ニッコリ笑って側に行き…
「大丈夫!! あと2つ!! 自信を持って腕を振って、俺のミット目掛けて投げてこい!!」
そう言って、胸の一つや二つ、軽くこついてやるだけで…アイツはきっと救われていたはずだ。
2時間近くかけて積み上げてきた、19個のアウトカウント…
辛抱に辛抱を重ね、どうにか4失点で食い止めてきたその集大成は、あと2つのアウトカウントで、神がかり的な逆転勝利で終わったと…
あの球場にいた誰もが、そう思っていたはずだ。
だからこそお前たちは「その瞬間」を、早く!!早く!!と欲しがり過ぎた。
誰よりも早く、その瞬間を手に入れようと焦りすぎた。
さっき良い勉強をしたばかりじゃないのか?
お前たちにさっきの攻撃で2点差を逆転され、さらに3点差までつけられた岡山西のナインたちは、お前たちと同じように2時間近く18個のアウトカウントを重ね続け…
たった3つのアウトを欲しがり過ぎたために…
誰よりも早く、その瞬間を手に入れようと焦りすぎたがために…
あの最終回の悲劇を、自ら呼び寄せてしまったんじゃないのか…?
俺たちは野球をやっていない。
球場で声援を送るお母さん方は、「その最終回の怖さ」をグランド上で経験していない。
お前たちだからこそ…
「逆転した後の次の回の怖さ」を知っているんじゃなかったのか…?
お前たちがその俺らと、お母さん方と同じような「勝った♪」という気持ちで守備についてどうする?!
若しくは「逆転されたらどうしよう…」「エラーしたらどうしよう…」「フォアボールを出したらどうしよう…」という、必要以上に自分を追い込んで守備についてどうする?!
2時間近くかけて、19個のアウトを取ってきたんなら…
2時間以上かけて、たった3つのアウトを取ったってイイじゃないか?!
最後の3つのアウトを取らなきゃ… その3つを取ってしまわなければ…
2時間近くかけて取ってきた、18個のアウトが何の意味もなくなってしまうんじゃないのか?!
お前たちは今日の敗戦を「ただの招待試合で」「ただ予選で敗退した」と思わないでいて欲しい。
お前らが待ち続けた「自分たちの代の今年最後の試合が、3つのアウトを取れずにサヨナラで負けた」
と、心の底に深く刻み込み、この2013年を越えて欲しい。
それが今のお前たちに一番必要な「何苦楚魂(なにくそたましい)」なのだから。
長くなったので、最後に一つだけ。
5回の表… 山本主将の打席で、岡山西のエースが投じた渾身のストレートが、山本の左胸鎖骨付近へモロに直撃した。
普段は絶対に、痛いの痒いの言わない山本が、のたうち回りながらその場にしゃがみ込み、腹ばいになって嗚咽しながら苦しんだ。
球場は一瞬凍り付き、両軍ベンチからも「動くな!!大丈夫か!!」と各指揮官たちが飛び出してきた。
山本は腹ばいの状態から、手をプルプルと振るわせながら四つん這いとなり、渾身の力で黒土を握りしめながら
大きな声で「ぅおーーーっ!!」と叫んで立ち上がり、全力で一塁に走った。
そりゃ痛いだろう。 もちろん息も出来なかったはずである。
立つことはもとより、一塁まで全力で走れるなんて、中学生の少年に出来るはずもない痛みだろう。
でもアイツは… 雄叫び一つで立ち上がり、そして一塁まで全力で走った。
この主将の姿を…この主将の根性を…
誰よりも「この試合に勝ちたい」と歯を食いしばり、一塁まで全力で走り抜けた主将の背中を…
来年の卒団まで片時も忘れず、その胸に刻みつけて欲しい。
きれいな野球はもういらない。
カタチだけの野球はもういらない。
泥臭くなれ。 がむしゃらになれ。 そして負けず嫌いになれ。
お前たちの野球に… もうカッコ良さはいらない。
2014年度・第20期生の新背番号が発表となり、2014年度・秋季大会にて初披露となりました。
また、新主将と新副主将も発表され、新たな瀬戸内野球の始まりとなりました。
そして、万全の状態で臨んだ、新体制初めての公式戦大会は「魔の初戦」を延長9回、タイブレイク3回(1死満塁)を戦うも、投打が全く噛み合わず、東広島シニアさんに5-5で引き分けとなり、抽選の末(5-4)初戦敗退となりました。
20期生の選手諸君には申し訳ないが、僕はこの大会の敗戦で、今の君たちに本当に必要な、とても大切なものを学ばせて貰ったと感謝しています。
これから先、君たちが勝ち取ってゆく様々な勝利の副賞には、必ず2つの副産物が与えられます。
それは「自信」と「奢り」という、君たちの心の中に宿るものです。
「自信」とは、君たちに成長と勝利を与え続けてくれるもの。
対して「奢り」とは、君たちに破滅と敗北を運んでくるもの。
君たちの「始まり」は広島安芸さんの招待試合で、初大会・初優勝という「華」で始まりました。
しかし、その勝利の副賞で君たちが選んだモノは「自信」ではなく「奢り」だったように思えます。
君たちの先輩たちも、今日の君たちと同じような「様々な人生経験」を積んできました。
そして今日。君たちが初めて袖を通した真新しい背番号のユニフォームには…
そんな歴代の先輩たちの、様々な想いと歴史が詰まっています。
君たちの先輩たちは、その「様々な人生経験」を一年以上かけて勉強してきました。
しかし、君たちはその一年分の経験を、僅か一ヶ月で経験することが出来たのです。
あの9月8日の優勝から、今日の10月6日の一回戦負け…
たった一ヶ月で、君たちは天国と地獄を同時に経験させて貰えたんです。
これを感謝と呼ばずして何と呼ぶか。
今日眠れぬ夜を過ごす君たちに、はっきり伝えておく。
この秋季大会で味わった初めての悔しさを「初まり」とし、そして今日からが本当の君たちの「始まり」として欲しい。
そして二度と!! 勝利という名の栄光を掴んだ時。
甘くて美味しい「奢り」という名の副賞に手を伸ばすことのないよう…
君たちの背中に刻まれた、瀬戸内魂の結晶とも言える、伝統ある背番号に約束して欲しい。
広島瀬戸内リトルシニアリーグ第20期・主将
背番号2 山本ダンテ武蔵
広島瀬戸内リトルシニアリーグ第20期生・副主将
背番号6 岡本 空
同じく副主将
背番号5 菊間 友弥
広島瀬戸内リトルシニアリーグ第20期生
背番号1 松尾 一樹
背番号3 池田 吏輝
背番号4 岩本 啓吾
背番号7 中村 靖太
背番号8 榎 粋世
背番号9 高元 浩史
背番号10 宇根 有紀
背番号11 中島 英之
広島瀬戸内リトルシニアリーグ第21期生
背番号12 杉本 剛
背番号13 中島 悠太
背番号14 草本 涼
背番号15 丸子 頌太
背番号16 中井 太一
背番号17 中田 穣司
背番号18 廣重 宥誠
これから1年間。お前らが背負わせて貰うその背番号。
お前らの前に、この番号を付けとった歴代の先輩らが、どがな人じゃったか…
お前らの前に、この番号を付けとった歴代の先輩らのプレーが、どがなプレーじゃったか…
お前らなら知っとろうし、逆にお前らにしか分からんコトじゃないんか…?
他の誰よりも… お前らが一番近いトコで、それらを見てきたんじゃないんか?
ならそれを「自信」にせえ。
その伝統を引き継いで背中に背負わせて貰うとることを「自信」にせえ。
そして二度と「奢る」なよ?
ワシらにじゃない。監督コーチにじゃない。
目の前のその背番号に固く誓えぇ
おっしゃ!! もう吹っ切れたよの!!
こっから走るでぇ~!! 期待しちょるけんのぉ~!!
9月15日(日)、実に1ヶ月の順延を経て、ようやく2013年度の卒団記念大会の準々決勝戦が行われ、広島瀬戸内は力の限り戦い、そして残念ながらこの準々決勝で19期生の軌跡に幕を閉じた。
先週から一週間の快晴の中、この日だけ朝からシトシトと小雨が降り続き、我々大人たちにとっては怒りにも似た感情も芽生えたが、選手たちは実に爽やかで、晴れやかな笑顔で、中学野球生活最後の土の匂いと、仲間たちとの時間を満喫した。
たらればを言えばキリがない。
悪条件を数え上げれば愚痴しか出てこない。
しかし、彼らの口からは、誰一人としてそんな後ろ向きな発言をする者はなく、一様に「感謝の言葉」を述べる子たちばかりだった。
決して「強くなかった」子たち。
そして群を抜く「スーパースター」など、一人もいなかった、この19期生。
しかし、最後の日を迎え、試合終了後は後輩たちに笑顔で握手を求め…
指導者の方々と大笑いしながら談笑し…
そしてこの数年間、共に「広島瀬戸内劇場」を見守り、歩み続けて下さった保護者の方々に、感謝の言葉を添えながら深々と頭を下げて回るこの子たちの姿を見ているだけで、我々大人たちはお腹一杯の気持ちになれた。
これを「満足」と言わずして何と表現できようか。
我々は日々、子供たちからたくさんのコトを学ぶことが多い。
それは、戦い(働くことや育児や家事)に疲れた、多くの大人たちが、唯一の休息の場でもある週末を返上してまで、彼らが戦い続けるグランドへ足を運ぶことからも「それ」を証明することができる。
思えば、僕たちはこの2年半の間、この子たちから何度も何度も一喜一憂させらました(苦笑)
大人たちの一喜一憂とは非常に身勝手なモノで、最初の頃の僕たちは、この子たちの一勝一敗に笑ったり、哀しんだりの毎日でした。
正直…「このチームでは神宮の夢なんて見ることは出来ないのかなぁ…」と諦めかけたこともありました。
そんな僕たちでしたが、それでも彼らに「たった二つのこと」だけは、胸を張って貫くことが出来ました。
その一つ目は、どんなに負け続けようとも、決してその姿から目を逸らさず「彼らを見続けてあげる」こと…
そして二つ目は、どんなに良い結果が現れなくても…この子たちが戦う姿勢を諦めない限り、僕たちは球場に足を運び「彼らを信じて応援し続ける」こと…でした。
文字にしてみれば、凄く我慢しているように感じるかも知れませんが、今思えばそれもすごく楽しかったように思えます。
そんな僕たちの想いとリンクするように、この2年半、彼らは彼らで貫き通した信念がありました。
それは、奇しくも僕たちの思いと同じ「たった二つのこと」しかありませんでした。
彼らが貫き通した二つの信念。
それが「一切、言い訳をしない」ことと「仲間と指導者だけを信じる」ことでした。
僕たちが「自然に貫いた二つの想い」
そして、彼らが「自然に貫いた二つの信念」
その「二つ」がゆっ…くり、ゆっ…くりと交差し始めた辺りからでしょうか…
ようやく、ゆっ…くり、ゆっ…くりと結果が見えてくるようになり、そのことがきっかけで、
「目の前に映っているモノ(目先の1勝など)だけが全てじゃない」という一番大切なモノに気が付けたことを、今でも鮮明に覚えています。
それが「自然」から「必然」に変わっていった証…
彼らとこのチームを心から信じることが出来た「絆の誕生」だったのかも知れません。
彼らが歩んだ2年半という月日の2年間は…
正直、泥水をすする2年間だったように思えます。
しかし、その2年間を誰一人として諦めなかったからこそ…
監督コーチ… そして選手の一人一人が、同じ目標を持ち続けていたからこそ…
最後の半年で、こんなにも幸せな野球生活を送ることができた。
大人たちの誰もが一度は「このチームでは神宮の夢なんて…」と不安に感じたこともあったであろう。
でも選手と監督コーチだけは、そんな不安など一度も感じたコトはなかったという…
その強い自信は、強がりや言い聞かせなどではなく「泥水をすすった2年間」を乗り越えてきたからこそ言える、彼らにしか分からない、強く大きな自信だったように思える。
彼らにとっての「その2年間」は、とてつもない「逆境」と「試練」の日々だったのではないかと思う。
しかし、逆境は跳ね返すためにある言葉であり、試練は乗り越えるためにある言葉でもある。
僕たちはこの2年半で、何度も彼らから「その言葉の意味」を教わってきた。
私事の話をして申し訳ないのだが、卒団大会で敗れたこの日、息子に対して素直な気持ちをこう伝えた。
「この2年半、本っっ当に…楽しかった!! 何もかもが大満足じゃった。この夏、北海道に連れてってくれてありがとの。」
さすがにこの日だけは、自然と感謝の言葉しか出てこなかった。
すると息子は、一言だけこう返してくれた。
「今度は甲子園に連れて行くけぇ」
もし、世の中に…様々な「有終の美」があるならば…
「最後は勝利をもって美とする終わり方」だけが全てじゃないことを…声を大にして申し上げたい。
一つの時代が終わったとき…
一つの物語が終わったとき…
「もぉ~お腹いっぱいだぁ~♪」と、お腹を抱え、見上げた空が眩いほど美しく見えたなら…
それも歴とした「有終の美」なんだろうな…と僕は痛感した。
19期生のみんな。
お前たちが見上げたあの空は綺麗だったか…? 美しいと感じたか?
この空はどこまでも永遠に繋がっている。
そして、お前らと同じ日、同じ時間、同じ気持ちで眺めてる奴らもたくさんいる。
この夏… お前たちが見上げた「この空」を…
何人もの球児たちが、今日のお前たちと同じ気持ちで眺めていたコトだけは…どうか忘れないでいて欲しい。
この空の向こうには、お前らよりもっともっとスゲー奴らがたくさんいる。
そして、お前たちより、もっともっと熱い想いで眺めている奴らもたくさんいる。
そんな奴らに負けるな!! そしていつの日か…
そんなヤツらとあの聖地で戦えることを夢見て… 顔晴れ!!
最後に…
今思えば、この一ヶ月間、不思議なくらいお前たちの卒団を阻み続けた「この空」は…
もしかしたら今日のお前たちが、負けてどんな言い訳をするのか試していたのかも知れねーな…
でもお前たちは誰一人として「言い訳」はしなかった。
そして、最後は感謝の言葉と共に、満面の笑顔で我々に頭を下げに来てくれた。
19期生。
それがお前たちがこの広島瀬戸内という「野球塾」で学んだ「人間学」なんだ。
野球という球技もたくさん学んできただろう…
しかし、お前たちが本当に学んできた全ては、こういった基本的人間力なんだ。
それはこの先、どこの高校に行っても、どの野球部に入っても決して負けることはない!!
そのことだけはどうか忘れず、胸を張って「広島瀬戸内シニア出身の○○です!!」と、大きな声で自己紹介して欲しい。
お前たちの残してくれたものは、きっとこの20期生、そして21期生の心に深く刻まれたと思う。
これからも…お前らが残してくれた、数々の大切なモノを胸に、チームの伝統として引き継いでゆくから。
19期生の選手たち。卒団本当におめでとう!!
そしてこれからも何事においても言い訳をせず、自分を信じ、指導者を信じ、そしてかけがえのない仲間を信じて、最高の野球道を歩んでいって下さい。
広島瀬戸内リトルシニアリーグは7月26日~29日にかけ、待ちに待った全国選抜北海道大会に参加し、初戦は地元北海道連盟に所属する留萌シニアさんと対戦し、1-0で辛くも勝利するも、3回戦は、これまた地元の北海道連盟に所属する札幌西シニアさんに大敗を喫し幕を閉じた。
大会期間中は終始小雨の降る、生憎のコンディションではあったが、初めて訪れた北の大地で、選手たちは思う存分、全国大会を愉しんだ。
初戦の対・留萌戦は、エースの佐藤が「らしい」ピッチングで、留萌打線を散発の2安打に抑え、堂々の完封勝利となった。
二戦目の対・札幌西戦は、部員数なんと69名というマンモス球団。
そんなマンモス球団に、挑んだ布陣は来季のエース候補、松尾を先発マウンドへ。
しかし、初回からエラーと四球をはさみ、ノーアウト満塁から押し出し。
更には、置きにいった初球を左中間に持って行かれ、走者一掃の3塁打となり、4点を先制された。
2回は立ち直りの兆しを見せたが、思うように腕を振ることが出来ずに降板。
替わった3年の宮本も悪い流れを断ち切れず、5回1死満塁でエース佐藤にマウンドを譲った。
替わった佐藤もアウトを重ねることが精一杯。
結局2失点(自責は0)でマウンドを降り、無念のコールド負けとなった。
打線は5回までに7本の安打を放ちながらも、7つの残塁という拙攻と、エンドラン絡みの失敗による3つのダブルプレーに泣いた。
この試合で2年生は、信じられないほどの大きな経験と課題勉強が出来たと思っている。
監督コーチと3年生がくれた、この貴重な贈り物を無にしないよう、必ずや来年に生かし、逆境を跳ね返すだけの財産として、何が何でも今期の雪辱を果たして欲しい。
ともあれ、19期生のシニア野球生活は、残すところあと卒団大会一つとなった。
19期生はこれまで培ってきた瀬戸内魂を胸に、最後の意地とプライドを。
20期生はその先輩方の最後の勇姿を、その目に刻みつけて欲しい。
19期生の卒団試合まで… いよいよあと一つ!!
※以下は北海道遠征の番外ショット
北の玄関口・新千歳空港上陸!!
空港に着いたら土砂降りでした。
開会式場の「札幌円山球場」に着くと、先ほどの豪雨が嘘のように札幌市内は青い空!!
各チームの団旗が色鮮やかに映える。
広島瀬戸内シニアの堂々たる入場行進!!
この行進だったら日本選手権予選の行進賞は頂いていた?!
今回お世話になった「ニューオータニイン札幌」さんの素敵なオブジェ
大会初日の石狩青葉球場に到着すると、球場担当の石狩中央シニアさんが、な・な・なんと!!
ウェルカムメロンをプレゼントして下さいました~♪
これにはチーム一同大感激!! なんて良い人達なんだ…(^_^)
そして美味しく頂きました♪コレがまた超絶品!!
信じられないくらい美味しかった~
北海道と言えばラーメンでしょ♪【第1弾】
初日はホテルの前にある「味の時計台北2条店」さんで頂きました!!
(写真は一番人気の、味噌バターコーンラーメン)激ウマ♪
北海道と言えばラーメンでしょ♪【第2弾】
最終日はすすきのに行く途中に見つけた「ラーメン山岡家南2条店」さん!!
(写真は初日に食べ損ねた、ねぎ塩ラーメン)超ウマ♪
番外編では、最終日にお母ちゃん方がちょっとハメを外そうとカラオケへ。
そこで見つけたのが「スリラーカラオケ 札幌南3条店」さん!!
久々に腹抱えて笑って、絶叫で歌いまくったそうです♪
第4回林和男旗杯国際野球大会のフォトギャラリーはこちらから。
本日の練習中、なんと!!あの2013年のR-1グランプリの覇者、三浦マイルドさん(吉本興業)が広島瀬戸内の応援に駆けつけて下さいました♪
三浦マイルドさんは広島県安芸郡の出身で、なんと呉港高校柔道部に在籍されていました。
広島瀬戸内の選手たちも、突然のサプライズ訪問に大喜びでした。
因みに選手たちは前日の広島鯉城杯に備え、全員が五厘刈りにしたばかり。
これにはさすがに本家のマイルドさんも「わしのマイルドフラッシュがかすむわ!!」と選手たちを笑わせてくれました。
連日続く、厳しい練習に舞い込んだ、とっても素敵でサプライズな一杯の清涼剤でした。
三浦マイルドさん!! 応援ありがとうございました~♪♪
伊藤監督とのツーショット
今年の広島瀬戸内の神宮への夢は、あと一歩で届かぬものとなりました。
しかし、この準優勝のお陰で新たな課題と大きな自信も得ることができ、今後に向けた新たな目標を掲げることが出来ました。
正直、悔しい気持ちは今も残りますが、選手達はもちろん我々関係者も、この冒頭の3行のうち、どちらの気持ちを胸に刻むか…だと思っています。
「臥薪嘗胆」という言葉は、伊藤監督の座右の銘でもあり、広島瀬戸内の戦うスタイルでもあります。
しかしこの言葉は「根に持て」という意味ではありません。
勝ちも負けも全ての「結果」を真摯に受け止め、そして全てのことに「感謝」し、そしてなお一層「精進」しなさい。
という「柔」の意味もあると思います。
先ずは君たちは、その「柔」の意味を習得して欲しいと思います。
6月22日の試合直後、監督コーチは一点を見つめたまま動かず、選手達の9割は号泣する中、あるチームの関係者の方がこう仰いました。
「瀬戸内さんはアツいねぇ…選手も指導者もよう泣いてじゃねぇ…まぁ、早めに気持ちを切り替えて!北海道頑張ってよ!」と。
きっと心配して下さったんだと思います。そして励まして下さったんだと思います。
けど僕はこう思うんです。
勝ったり、負けたりして流す涙にアツいも寒いもないんです。
そしてその選手達と共に涙を流し続けることに、若いも年寄りもないと思うんです。
話は変わりますが、僕は日本に生まれてきて、そして日本という国で生きてきて本当に良かったと思っています。
それは日本に「四季」というものがあるからです。
四季があるから、僕たちは様々な感動を味わうことができるんです。
冬の寒さや厳しさも… 時が経てば、やがて柔らかな日差しと共に桜の花びらが一枚づつ開花していきます。
その花びらを見るたび「春が来たんだなぁ…」と幸せな気持ちになれます。
そんな幸せな気持ちを味わえるから… いつかは春が訪れることを知っているから…
僕たちはあの、厳しい冬を越す「勇気」と「希望」を持つことが出来るんです。
そんな四季を生まれたときから経験し、感じ、そして過ごしてきた僕たちには、もっと大切な4つがあります。
それが「喜怒哀楽」という感情なんです。
僕たちは人間なんですから…
喜ぶときは思いっ切り喜べばいい。怒るときは真剣に怒ればいい。哀しむときはトコトン哀しめばいい。
楽しむときは…心の底から楽しめばいい。
一番いけないことは、その気持ちを自ら抑え込んでしまうことだと思います。
人間が感情を封印してしまえば表情がなくなります。
表情がなくなれば…それは人が人でなくなってしまう瞬間だと…僕はそう思っています。
春が来るから厳しい冬が耐えれるように…
いつかは笑える日が来るから…来ると信じているから…
人間は哀しいときに心の底から泣くことが出来るんです。
そんな当たり前の姿に、若いも年寄りも…アツいも寒いもないんだと…僕はそう思います。
僕は試合終了後、ある選手にこう声を掛けました。
一年前のその選手は、揺すっても回してもまっ…たく声の出ない、感情を表に出すことが苦手な選手でした。
「お前が試合で声を出すところ…初めて聞いたど。
お前…この一年でよう成長したのう… 何でお前がここまで成長できたか分かるか?」と。
その選手は不思議そうに首を傾げていたので、こう言ってあげました。
「オマエがたくさん笑うようになったけんよ」と。
すると、その子は帽子のつばを摘まみ、照れくさそうに笑ってくれました。
「瀬戸内に入って…良かったの」そう言いながら肩を叩いてやると、力強い声で「はい!」と答えてくれました。
選手達と共に四季を過ごし… 選手達と共に泣き笑い… そして選手達と共に成長する。
これが広島瀬戸内リトルシニアというチームの「色」だと思います。
長くなったので最後になりますが、表彰式終了後、スコアボードをバックに記念撮影を撮ってくれという指示がありました。
選手達にその旨を伝えると、明らかにテンションが低いのを感じました。
目の前には優勝を決めた高川学園さんが、満面の笑顔で優勝記念撮影を撮っていました。
だから僕は思わずこう言いました。
「おい2年生!! 今日という日をよう覚えちょけ!!
3年の神宮は今日で終わったが、お前らの神宮は今日が始まりなんじゃ!! 今この瞬間がスタートなんじゃ!!
そのためにも全員前に出て、あの記念撮影の姿をよう見ちょけ!! そして絶対に目をそらすな!!
あの姿と、あの高川の選手が喜びようる顔、その一つ一つをその目によう焼き付けとけ!!
そしてこの光景と悔しさを、来年のこの日まで片時も忘れなよ!!
ええか!!絶対に忘れるな!! この一年でもっともっと大きゅうなって… もっかいこの場所に帰ってくるど!!」
その瞬間、2年生の11名が泣き崩れました。
その姿は、まるで何かの呪縛が解けたような… ようやく何かから解き放たれたような…
悔しさと…安堵が入り交じったような…そんな切ない姿でした。
今まで気丈に結んでいた唇からは… ようやく中2の少年らしい泣き声がもれ、溢れ落ちる涙を懸命に拭いながらも、それでも誰一人として高川学園の記念撮影から、目をそらす子はいませんでした。
その後ろでは…同じように目をそらさず、肩を震わしながら号泣し続ける3年生達がいました。
僕はその光景を眺めながら色んな想いがこみ上げてきました…
「ほうよのぅ… 考えてみりゃ…頑張ってきたのは3年生だけじゃないんよのぅ…
コイツらがおってくれたけん… コイツらが何度も助けてくれたけん…
わしら、ここまで夢を見ることが出来たんじゃもんのぅ…
コイツらはコイツらなりに… 今まで色んなモン背負いながら、ここまで付いて来てくれたんよのぅ…」
そんな想いが頭の中を駆け巡り、僕の目頭も熱くなりました。
あのグランド上で、3年生も2年生も…誰一人として会話する子はいませんでした。
でも3年生の背中からは「今まで助けてくれてありがとう。神宮に連れてってやれんでごめん」という声が…
そして2年生からは「先輩たちと一緒に神宮に行くことができず…本当にすいません」というお互いの声が…
彼らの胸にはちゃんと届いていたのかも知れません。
えかったのぅ…お前ら…
最後の最後でようやく「その意味」を教えてもろうたじゃないか…
ええか?お前ら…
6月22日にお前ら一人一人が流した涙の数… 何度も何度も唇を噛みしめた血の味…
その一つ一つが本当の…「臥薪嘗胆」という意味なんよ。
この2年半、監督コーチが口が酸っぱくなるほど語り続けた、この4つの漢字。
この言葉が持つ本当の意味を、君たちは最後の最後で、ようやく身を持って経験することが出来た。
これは君たちにとって、本当に掛け替えのない財産だと思う。
僕はこの決勝戦を観戦できて… そしてこんなに素晴らしい経験をさせて貰って…
本当に本当に「感謝」という言葉しか出てこない。
本当に本当にありがとう。
3年生達も残すところ、あと3大会。
この青空の下で… この仲間達と共に、瀬戸内の選手として野球が出来る僅かな日々を…
心の底から噛みしめて欲しい。
広島瀬戸内の選手諸君… 日本選手権予選準優勝、本当におめでとう!!
君たちが誇る「固のチカラ」の素晴らしさに、僕たち大人は何度も何度も勇気をもらいました。
あと3大会、我々保護者も最後の最後まで、君たちから勇気と感動をもらいに球場に足を運びます。
君たちの最高のフィナーレまで… あと3つ!!
平成24年5月25日に開幕した第42回日本選手権予選。
広島瀬戸内は皆さまからの熱い声援のおかげで、遂に決勝進出を決めることが出来ました。
それに伴い、何度も自制していた執筆魂に火が付き、連投のコラム申し訳ありません。
しかしながら2年の岡本 空くんに、前回のコラムが「ながっ…」という手厳しい批評を頂きましたので今回はマジで手短に。
因みにこれで岡本くんは、僕が長年封印していた一本指浣腸の刑が確定です♪
この尾道戦は本当に厳しく、そして近年で3本指に入るくらい胃が痛くなる試合でした。
そして、それを制することが出来たのは…
このチームが他のチームに負けないくらいの「あるチカラ」があったからだと思います。
選手のみんなも覚えてると思いますが、このサッカーワールドカップ予選で日本のエース本田圭佑選手が言った言葉。
それが「個」の力を高めてゆくという名言。
僕もこの意見には激しく賛同する一人です。
野球という団体競技であっても、やはり土壇場の場面で力を発揮できるのは「個」の力しかない。
マウンド上では… バッターボックスでは… 塁上では…
誰も君たちを助けてはくれない。
「あの場所」では、自分の力… まさに「個」の力で乗り越えていくしかない。
しかし、僕にはそれ(個の力)だけでは、絶対に乗り越えることができない「もうひとつの壁」があると思っています。
私事で申し訳ないのですが、昨日の準決勝戦。あの尾道相手に1-0で迎えた最終回。
選手交代で私の息子が守備につきました。
みんなの夢が詰まったこの大会。
この最終回まで、みんなが我慢して我慢して…積み上げてきたスコアボードの0の数…
この子はいつものように、全力で自分の守備位置につきながら…今まで経験したことのない、ある不思議な現象に見舞われたと言っていました。
それは目の前の球場がゆがみ、そして観客席もマウンドも、何もかもが全てグルグル回っていたと。
「自分がエラーをして、逆転されたらどうしよう…」
真っ先に頭によぎったことは、そんなネガティブな気持ちだったそうです。
いつものように声を出しても、その震えは止まらない。
いつものように笑って大声を出しても、そのゆがみは消えない。
足の震えは止まらず、野球をやってて初めてその場から逃げ出したくなったそうです。
いつもは「誰かのため」に掛けていた声。
マウンド上のエースに…緊張している後輩に…そして共に戦っている仲間達のために。
しかし、今回初めて全く周りが見えなくなり、震える右手で自分のほおを叩き、後ろを振り向き思わずこう叫んだそうです。
「絶対にわしらが勝つ!! 絶対にわしらの方が強い!!」と。
その目は。その声は。きっと仲間に確認していたのかも知れません。
「そうよの?!」と。
「わしらが絶対勝つよの?!」と。
「だからみんな…俺に勇気をくれ!!」と。
そして…ダイアモンドに立つ選手8人…
そしてベンチで声援を送るたくさんの後輩達が、力強く「おっしゃー!!」と叫び返してくれた瞬間…
あれだけ目の前でゆがんでいた景色が…
不思議なくらいスーッ…と止まってくれたんだそうです。
どうしても止まらなかった足の震えは止まり、何を言ってるのか全く解らなかった仲間達の掛け声がハッキリと聞き取れるようになったと。
そして今まで野球をやってきて、いまいち分からなかった「声の大事さ」「声を出すことの意味」が…
あの1イニングで痛いほど分かったと。
そう打ち明けてくれました。
そしてあの最終回。ノーアウトランナー1、3塁の、あの局面で…
チーム全体の「あるチカラ」が、あの信じられない奇跡を生んだのです。
僕は審判控室からあの光景を眺めていて、これがこのチームの…
これがこの子達が2年間かけて築き上げてきた、一番の魅力。一番の武器なんだと。
そう確信しました。
そして、その「あるチカラ」こそ… この子達が誇る「固のチカラ」だと。
そう感じたのです。
この決勝までの長い道のり…
広島西さんも、山口東さんも、尾道さんも。
「個」のチカラは、我々瀬戸内の子達より数段上の選手達ばかりでした。
しかし、そのチカラに物怖じせず、弾き返すだけのチカラを磨きに磨いてここまでやってきた。
それは奇しくも「個」と「固」の差だったような気がします。
ごめん。岡本。
やっぱなごうなってしもうたの。2本指浣腸でこらえちゃるわ。
最後にみんな!! 決勝も悔いのないよう頑張れ!!
今度の戦いの「悔い」は今までの「悔い」とは違う。
今度の「悔い」は「負け」でしかない。
延谷コーチが言ったように、一回戦で10-0で負けようと、決勝戦で1-0で負けようと、結局、負けは同じ。ということ。
いや…むしろ、決勝での1-0負けの方が絶対に悔いが残る。
だから… 悔いが残らないよう…とにかく勝て!!
土壇場の場面で君たちの力を発揮できるのは「個」の力しかない。
しかし、土壇場の場面で君たちを守ってくれるのは「固」の力しかない。
だから君たちの「固」を信じて… 決勝戦も「個」に負けるんじゃないぞ!!
あとひとつの坂道を、ひとつだけの夜を
越えられたなら、笑える日が来るって
今日も信じてるから、キミもあきらめないでいて
何度でもこの両手をあの空へ!!