本日、2013年度の春季大会決勝戦が行われ、広島瀬戸内は準優勝という形に終わりました。
賞位だけ見れば、堂々たる準優勝という栄誉に輝きましたが、決勝戦の結果だけで言うならば、非常に悔しく、手放しでは喜べない結果となりました。
今大会を最初から最後まで見続けてきた我々スタッフや保護者から見れば、選手に「おめでとう!!」と言葉をかけてあげたいのですが、敢えて感想を述べれば、やはり「目的意識」と「勝負への拘り(貪欲さ)」の差が出た決勝戦だったと。
そう思います。
ちょっと厳しく。また簡潔に言えば、この子たちの春季大会は、準決勝戦で終わっていたような気がします。
あの、3/23にコカコーラウエスト球場で行われた福山シニアとの準決勝戦を抽選で制し、広島北シニアさんが高川学園さんを破った時点で「大切な何か」を失ってしまったような… そんな気がしてなりませんでした。
その「大切な何か」とは、闘志を全面に出し、戦って勝つ!!という「熱い炎」、「強い気持ち」のことだと…僕はそう感じました。
閉会式の挨拶で、亀川支部長が「どのチームも実力の差は、そうありませんでした。」と労って下さいました。
私も正直、そう思います。
しかし、支部長の言葉の「そうありませんでした」の「そう」に、深い意味と大きな差があると…しみじみ感じました。
それは試合開始前、広島北のナインがベンチ前でこう叫んでいました。
「今日は心から野球を楽しもう!!心の底からこの決勝戦を楽しもう!!」と。
勝敗の差は「この差」だと思いました。 実力の差だけじゃない。
試合に臨む気持ちの差。野球に対する向き合い方の差。
そして…決勝戦を戦わせてもらえるんだ!!という… 感謝の気持ちの差。
それが広島北の子供たちの方が、遙かに勝っていた差なんだ…と。 僕はそう痛感しました。
決勝戦を戦うということは、18のチームが流してきた汗と涙の結晶と、血の滲むような努力を制してまでその場に立つということ。
大袈裟な話でなく、それだけたくさんの人たちや、気の遠くなるような練習や努力を踏み台にしてまで、栄えあるその場に立たせて貰っていると言うこと。
決勝戦で戦えるということは…
君たちの勝利の陰で涙をのんできた数々のチームの代表として、そんな人たちの様々な想いを無駄にしないよう、精一杯戦わなければならない大きな義務がある。
これから君たちは様々な戦いを経て、様々なことを学び、そして様々な経験を積むだろう。
勝つことによって「喜び」や「感動」を経験することもあれば、勝つことの非情さや苦しさを学ぶこともある。
しかし、負けることによって、悔しさや悲しさを経験することができれば、負けることで学べることも星の数ほどある。
人は「夢」や「目標」を持たなければ成長できないし、前へと歩んでいくことはできない。
そして、その目標が「神宮に行くこと」や、今回のように「北海道にいくこと」であってもかまわない。
それはそれで素晴らしい目標だし、最高の夢だと思う。
しかしそれらは「目標」や「夢」ではあっても、「目的」ではない。
目標や夢は「描く」ものであり「追いかける」もの。
しかし、目的は「果たす」ものであり「達成する」もの。
今回、君たちは広島北シニアの決勝進出により、勝っても負けても「北海道に行ける」という目標と夢を掴んだ。
そして広島北シニアは、相手がどこであろうと決勝戦を全力で戦い「勝って」必ず春季大会を優勝する。という「目的」を果たした。
この大会で手にした両チームの栄誉と功績はどちらも素晴らしいものだと思うし、本当に掛け替えのないものだと思う。
しかし、最後の最後で「勝敗」という結果が生み出した答えは、紛れもなく、この「目的意識の差」だと… 僕はそう感じた。
目標に向かって走り続けた広島瀬戸内と、目的を果たすことをただひたすら貫いた広島北…
この意識の違いが最後の舞台で大差となって大きくあらわれた。
野球を愛する少年球児たちよ… 難しく考えることはない。
君たちの目的とは凄くシンプルで、世界中の野球人もすべて同じ目的なのだから。
それは、ただひたすら「試合に勝つこと」ただそれだけ。
相手がどことか… どの大会にはとか… そんな下らないことじゃない。
相手がどのチームであろうと、どの大会だろうと、ただ用意された目の前の試合を全力で戦い、必ず勝つ!!という強い気持ちで挑むこと。
そしてその目的は、「果たす」からこそ意味があるということ。
「達成する」からこそ「その先の高いレベルを学ぶことができ、経験することができる」ということ。
この大会で広島北シニアは、秋・春連覇という偉業を達成した。
そして何より「勝って全国選抜大会へ臨む」という「最高のカタチ」を作ることができた。
それは申し訳ないが、君たちが全国選抜北海道大会へ出場することより、遙かに大きな財産を勝ち得た。
だが問題はここからなのだ。 もうこの春季大会は終わったことなのだ。 過ぎたことなのだ。
今日という過去を悔やむより、今日、広島北シニアから得た全ての教訓を素直に学び、君たちの教科書に綴じておけば良いだけの話。
この準優勝が本当に意味があるかないか?として決まるのは、実はここ。 ここが分岐点だったりする。
在り来たりだが、気付くか気付かないか。 たったそれだけで変わる者と変われない者が決まる。
きっと広島北シニアさんはこの全国選抜大会で、我々の想いや涙を無駄にしない、中国地区の代表として相応しい戦いを全国の強豪たちに見せつけてくれるであろう。
我々もその勇姿に負けない気持ちを持ち、これからはどんな試合でも、どんな大会でも、ただ目の前の試合に勝つことだけを目的に、全力でプレーするだけである。
その延長線が「神宮」というご褒美であり、「北海道」というご褒美なのだ。
長くなったがもう一度だけいう。
勝負事の順番とは「目的」があるからこそ、その先に目標や夢があるのだ。
目的を果たさなければ「夢」は叶わない。 目的を達成しなければ「目標」は近づかない。
日々の小さな目的をコツコツとこなし、果たしていけば「夢」や「目標」は、向こう側から必ず近づいてくれる。
今日の準優勝で「そのこと」に気付かなければ、君たちと広島北との差は一生縮まらない。
監督コーチを信じ、仲間を信じ、そして自分自身を信じ…もう一度ともに戦おう!!
頑張れ広島瀬戸内!! 顔晴れ!! シャークス戦士たち!!