瀬戸内球児達が持つ「あるチカラ」

平成24年5月25日に開幕した第42回日本選手権予選。
広島瀬戸内は皆さまからの熱い声援のおかげで、遂に決勝進出を決めることが出来ました。

それに伴い、何度も自制していた執筆魂に火が付き、連投のコラム申し訳ありません。

しかしながら2年の岡本 空くんに、前回のコラムが「ながっ…」という手厳しい批評を頂きましたので今回はマジで手短に。
因みにこれで岡本くんは、僕が長年封印していた一本指浣腸の刑が確定です♪

この尾道戦は本当に厳しく、そして近年で3本指に入るくらい胃が痛くなる試合でした。
そして、それを制することが出来たのは…
このチームが他のチームに負けないくらいの「あるチカラ」があったからだと思います。
選手のみんなも覚えてると思いますが、このサッカーワールドカップ予選で日本のエース本田圭佑選手が言った言葉。
それが「個」の力を高めてゆくという名言。

僕もこの意見には激しく賛同する一人です。
野球という団体競技であっても、やはり土壇場の場面で力を発揮できるのは「個」の力しかない。

マウンド上では… バッターボックスでは… 塁上では…
誰も君たちを助けてはくれない。

「あの場所」では、自分の力… まさに「個」の力で乗り越えていくしかない。

しかし、僕にはそれ(個の力)だけでは、絶対に乗り越えることができない「もうひとつの壁」があると思っています。

私事で申し訳ないのですが、昨日の準決勝戦。あの尾道相手に1-0で迎えた最終回。
選手交代で私の息子が守備につきました。
みんなの夢が詰まったこの大会。
この最終回まで、みんなが我慢して我慢して…積み上げてきたスコアボードの0の数…
この子はいつものように、全力で自分の守備位置につきながら…今まで経験したことのない、ある不思議な現象に見舞われたと言っていました。
それは目の前の球場がゆがみ、そして観客席もマウンドも、何もかもが全てグルグル回っていたと。
「自分がエラーをして、逆転されたらどうしよう…」
真っ先に頭によぎったことは、そんなネガティブな気持ちだったそうです。

いつものように声を出しても、その震えは止まらない。
いつものように笑って大声を出しても、そのゆがみは消えない。
足の震えは止まらず、野球をやってて初めてその場から逃げ出したくなったそうです。

いつもは「誰かのため」に掛けていた声。
マウンド上のエースに…緊張している後輩に…そして共に戦っている仲間達のために。
しかし、今回初めて全く周りが見えなくなり、震える右手で自分のほおを叩き、後ろを振り向き思わずこう叫んだそうです。

「絶対にわしらが勝つ!! 絶対にわしらの方が強い!!」と。
その目は。その声は。きっと仲間に確認していたのかも知れません。
「そうよの?!」と。
「わしらが絶対勝つよの?!」と。
「だからみんな…俺に勇気をくれ!!」と。

そして…ダイアモンドに立つ選手8人…
そしてベンチで声援を送るたくさんの後輩達が、力強く「おっしゃー!!」と叫び返してくれた瞬間…
あれだけ目の前でゆがんでいた景色が…
不思議なくらいスーッ…と止まってくれたんだそうです。

どうしても止まらなかった足の震えは止まり、何を言ってるのか全く解らなかった仲間達の掛け声がハッキリと聞き取れるようになったと。
そして今まで野球をやってきて、いまいち分からなかった「声の大事さ」「声を出すことの意味」が…
あの1イニングで痛いほど分かったと。
そう打ち明けてくれました。

そしてあの最終回。ノーアウトランナー1、3塁の、あの局面で…
チーム全体の「あるチカラ」が、あの信じられない奇跡を生んだのです。

僕は審判控室からあの光景を眺めていて、これがこのチームの…
これがこの子達が2年間かけて築き上げてきた、一番の魅力。一番の武器なんだと。
そう確信しました。

そして、その「あるチカラ」こそ… この子達が誇る「固のチカラ」だと。
そう感じたのです。

この決勝までの長い道のり…
広島西さんも、山口東さんも、尾道さんも。
「個」のチカラは、我々瀬戸内の子達より数段上の選手達ばかりでした。
しかし、そのチカラに物怖じせず、弾き返すだけのチカラを磨きに磨いてここまでやってきた。

それは奇しくも「個」と「固」の差だったような気がします。

ごめん。岡本。
やっぱなごうなってしもうたの。2本指浣腸でこらえちゃるわ。

最後にみんな!! 決勝も悔いのないよう頑張れ!!

今度の戦いの「悔い」は今までの「悔い」とは違う。

今度の「悔い」は「負け」でしかない。
延谷コーチが言ったように、一回戦で10-0で負けようと、決勝戦で1-0で負けようと、結局、負けは同じ。ということ。
いや…むしろ、決勝での1-0負けの方が絶対に悔いが残る。

だから… 悔いが残らないよう…とにかく勝て!!

土壇場の場面で君たちの力を発揮できるのは「個」の力しかない。
しかし、土壇場の場面で君たちを守ってくれるのは「固」の力しかない。
だから君たちの「固」を信じて… 決勝戦も「個」に負けるんじゃないぞ!!

あとひとつの坂道を、ひとつだけの夜を
越えられたなら、笑える日が来るって
今日も信じてるから、キミもあきらめないでいて

何度でもこの両手をあの空へ!!

2013年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : 広島瀬戸内シニア広報部長