【コラム】続・何苦楚魂(なにくそたましい)

長くなったので、最後に一つだけ。
5回の表… 山本主将の打席で、岡山西のエースが投じた渾身のストレートが、山本の左胸鎖骨付近へモロに直撃した。

普段は絶対に、痛いの痒いの言わない山本が、のたうち回りながらその場にしゃがみ込み、腹ばいになって嗚咽しながら苦しんだ。
球場は一瞬凍り付き、両軍ベンチからも「動くな!!大丈夫か!!」と各指揮官たちが飛び出してきた。
山本は腹ばいの状態から、手をプルプルと振るわせながら四つん這いとなり、渾身の力で黒土を握りしめながら
大きな声で「ぅおーーーっ!!」と叫んで立ち上がり、全力で一塁に走った。

そりゃ痛いだろう。 もちろん息も出来なかったはずである。
立つことはもとより、一塁まで全力で走れるなんて、中学生の少年に出来るはずもない痛みだろう。
でもアイツは… 雄叫び一つで立ち上がり、そして一塁まで全力で走った。

この主将の姿を…この主将の根性を…
誰よりも「この試合に勝ちたい」と歯を食いしばり、一塁まで全力で走り抜けた主将の背中を…
来年の卒団まで片時も忘れず、その胸に刻みつけて欲しい。

きれいな野球はもういらない。
カタチだけの野球はもういらない。

泥臭くなれ。 がむしゃらになれ。 そして負けず嫌いになれ。
お前たちの野球に… もうカッコ良さはいらない。

2013年12月7日 | カテゴリー :