令和5年8月20日、卒団大会準決勝。
奏斗シャークスは皆さまからの熱い声援のおかげで、11年ぶりに卒団大会の決勝戦に駒を進めることが出来ました。
言葉にすれば、ただの野球大会の決勝戦に残っただけ。
しかし、本当の意味を「活字」にすれば、このリトルシニアの数あるチームの中で「一番最後まで野球をさせてもらえる」という権利を得られたのです。
29期生のみんな。
こんなに親孝行で、こんなに幸せなコトって…ほかにあるか?
思えば、今年の3年生たちは…
多くの涙と、多くの悔しさをたくさんたくさん経験し…
何度も何度も…眠れぬ夜を過ごし…
何度… 薄明かりに揺れる天井を眺め続けて来ただろう…
それでも、この子たちは、いつの日か、自分たちのしてきたことが花咲くことだけを信じ、とにかく一生懸命に、とにかく全力で駆け抜けてきました。
全ては「この日」のためだけに…
そして、キミたちが愚直に一生懸命、信じて歩んできた道に、ようやく最後に大輪の花が咲き誇った。
最後まで諦めず… 本当に一生懸命よく頑張った。
私は現在、中国支部の役員ですが、この2年半は本当にあっという間で…
この子たちと駆け抜けてきた日々は、本当に一瞬の出来事だったように思えます。
今から私が漏らす本音を聞けば、監督コーチ、そして選手一人一人は「なんてことを言うんだ!!」と気を悪くするかも知れませんが、僕は正直にこう思います。
来週で幕を閉じる、この子たちにとって最後となる卒団大会…
本当は勝敗なんて、どうでもイイんです。
いや… どうでもイイという表現ではなく、正確にいえば二の次なんです。
我々大人たちは、君たちと君たちを心から愛する多くの指導者たちとの絆。
そして、これまで積み上げてきた幾多の軌跡をズッ…と見てきました。
片時も目を離さず。ズッ…と。ずっと。
だから…
本当はもう、この時点でじゅーーーーーーーぶん…幸せなんです。
そして十分。 君たちには感謝の気持ちで一杯なんです。
本当に良い仲間たちに巡り会え、良い後輩、良い先輩達にも支えられ、そして本当に素晴らしいチームで「野球」と「人間力」を学ぶことが出来た。
2年前の君たちは、真新しい帽子を被ってグランドの球拾いをし、1年生の頃は1勝も出来ず、色んなチームから笑われ、それでも懸命に指導者達を信じ、ここまで頑張ってきた。
指導者の方たちも、そんなキミたちをただひたすら信じ、決して焦らず… 決して迷わず…
「この日」に合わせてちゃんと照準を絞り、この子達のカラーを大切にしながら、立派にこのチームを作り上げてきた。
僕たち大人たちは…その全てに、ただただ「感謝」の気持ちでいっぱいなんです。
今度の呉昭和戦。
本当にきれい事じゃありませんが「心から楽しんだチーム」が勝つと思います。
決勝戦という舞台で戦えることを心から楽しむ…
この仲間達と、もう二度と同じチームで野球をすることが出いない「幸せ」を心から楽しむ…
3年生は、この後輩達と…
1、2年生は、この先輩達と…
「シャークスのユニフォーム」を着て、ゲームセットの瞬間まで、共にプレー出来ることを心から楽しむ…
29期生にとって、そんな幸せや楽しみを味わう時間は… もうあと1試合しかない。
もう二度とこの仲間達と、もう二度とこのユニフォームを着て、野球をすることはできない…
だから僕たち大人達が、たった一つだけ君たちに「エール」を贈らせてもらうとすれば…
キミたちが将来、オッさんになって「この日」を思い出したとしても…
胸を張って自慢話が出来るくらい、悔いのないよう「最後」は精一杯戦って欲しい。
本当にただそれだけ。
勝ち負けじゃない。結果を求めるわけでもない。
キミたちが捧げた「中学3年間」の、最後の集大成だから…
泣いても笑っても、この日が最後のステージだから…
後は君たち自身が悔いのないよう… 心の底から「この日」を楽しんで欲しい。
後輩達は、3年生のために。
3年生達は、監督コーチやご両親、そして可愛い後輩達はもちろん、この3年間、苦しいときも楽しいときも、ズッと一緒に過ごしてきた9人の同級生達のために!
最後の一投まで!!
最後の一振りまで!!
そして最後のゲームセットの瞬間まで…
決して後悔することのないよう、全力で「この日」を楽しんで欲しい。
そうすればきっと、君たちは、生まれて初めて経験できる素晴らしい感動を味わえるだろう。
それがこの「誰かのために流す涙」なんだ…と。
長くなりそうなので、最後にこれだけは覚えておいて欲しい。
もし、君たちが、来週の決勝戦の舞台で、エラーをしたり、チャンスで打てなかったとき…
緊張して手足がガクガク震えたとき…
ピンチになって気持ちが負けそうになったとき…
そんな時は大きく息を吐き… あの2月25日を思い出して欲しい…
今年の2月25日。
福山シニア専用グランドで行われた対、呉昭和戦。
あの試合で引き分けに終わった際、僕は人目もはばからず、君たちのために声を上げながら号泣し、その悔しさをキミたちに叫び続けた。
その姿にキミたち9人も全員声を上げて号泣し、誰一人として僕から目を逸らす者はいなかった。
あのとき、僕や伊藤監督は、何度、キミたちに「神宮」という言葉を口にしただろう。
残念ながら「キミたちの神宮」は、夢の彼方へと消えてしまったけれど…
でもキミたちは、残り僅かな時間で、今度はあとに続く後輩たちのために「後輩たちの神宮」という、キミたちが学んできた「魂」を残してやらなければいけない。
身も凍てつくような2月25日。
たかが春のリーグ戦の引き分けで、キミたちは悔しさと歯がゆさで、クシャクシャになるくらい泣いた。
あの姿をしっかりと思い出し、そしてそれを勇気に変えて堂々とグランドに向かって欲しい。
あれも歴とした「誰かのために流す涙」なんだと。
親愛なる29期生の子どもたち…
自分のために流す涙は軽く、乾くのも早い。
そして、いつの日かその記憶も、時間とともにゆっくりと忘れ去ってしまう。
しかし、誰かのために流す涙は重く、いつまで経っても乾かない。
そして、流した涙の記憶はどんなに時を経ても、一生忘れることはない。
あと1試合…
君たちには自分以外の「大切な誰か」のために涙を流して欲しい。
大切なあの人たちのために…
そして、掛け替えのない仲間たちのために…
そして、卒団大会が終わったあとは、勝とうが負けようが関係ない!
選手も指導者も保護者も!!
広島瀬戸内の関係者全員で思いっ切り泣いて!腹の底から笑おう!
君たちのカーテンコールまで…
あとひとつ!!