今シーズン、早くも2回目のコラムである。
華々しく、そして盛大に出港した「第27号丸」に全く活気というモノが感じられない。
親愛なる息子たちの門出に、連日心地良いニュースをお届けしたいのだが…
今日、新チームのプレイボールからゲームセットまでの一部始終を見て、「疑心」から「確信」に変わった。
新生27期生は「チーム」として機能していない。
選手ひとりひとりに問いたい。
チームとはなにか?
チームとは「ひとつ」になることから始まる。
キミたちは、まだ「ひとつ」になりきる前から、その船を出航してしまったような気がする。
たった1試合しか見ていないが、今日の1試合で、試合に出た選手ひとりひとりに「明確」な苦言と進言をかけてやれるほどの「決定的」なモノが見えたほど。
今回は敢えて、今日、10名の同級生たちの「オモイ」を抑えてまで、試合に出場したスタメン選手にだけ、掻い摘まんで進言しよう。
翼。
オマエがファーストを守って、オマエが2番を打ってどうする?
オマエの実力と、オマエの「選んだ道」はそんなモンか?
人じゃない。周りじゃない。「オマエ」が決めた道を信じろや。
一つのアウトを取って、野手が最後にピッチャーにボールを返すヤツ。それがファーストじゃ。
オマエがボールをこねてやらんでどうする。
オマエがニコッと笑って、力強く頷いて、ボールを渡してやれんでどうする。
ふさぎ込む前に。悩んで、諦めて小っさくなる前に。先ずはオマエが「やること」をやれ。
今から「後悔」してどうする?今から「諦めて」どうする?
後悔はあと半年、オマエが野球人として「やること」をやってから後悔せえ。
それでも後悔したときは、その時は全力でワシがオマエに頭下げちゃるけえ。
一翔。
なに60過ぎの爺さんみたいな暗い顔して野球しよんな?
熊野から島に来るだけでそりゃしんどかろう。
今のチームは、オマエがやりたかった野球じゃないんかも知れん。
ほじゃが、このユニフォーム着てやりよんじゃろうが。
今のオマエ見よったらのう。
「はよ終わらんかのぅ…」
の、表情にしか見えんわい。
色んな気持ちはようわかる。歯がゆい気持ちもよう分かる。
ほじゃがのう、ワシがオマエを一年生大会で優秀選手に選んだ理由をもういっぺん思い出せ。
一回戦から決勝まで。ピンチの時もチャンスの時も、常にマウンドに行って声を掛け、360度、全選手に向かって声を掛けたのはオマエだけじゃったと。
それがオマエの「持ち味」であり「武器」なんじゃと。
あの頃の「オマエ」を思い出せ。
今のオマエを見よったら、山内さんも横山さんも泣くど。
逢夢。
9人でやる「野球」で、唯一、みんなの顔が見れるポジションはどこかわかるか?
横顔や後ろ頭しか見れんヤツらしかおらん野球で、オマエだけが唯一、仲間の表情(カオ)を見渡せるんで?
なら、面(キャッチャーマスク)取れや!
ピンチの時も、チャンスの時も、常にオマエのその不細工なツラをみんなに見しちゃれぇや!
ワレが笑うて、ワレがそのツラ見して大きな声出すだけで、みんなどれだけ元気を貰えるんな?
どんだけ安心できるんな?
目と目を合わせんかい!目と目で会話せんかい!
エラーしたヤツに、フォアボール出したヤツに!
ワレがそのぶっっっさいくなツラ見して、目と目を合わせて「大丈夫!」と頷いて笑うちゃらんかい!
たったその2秒で、そいつの心は救われるんで?
あと、返球で一球一球、ピッチャー屈ましてどうすんな!
ハエが止まるような、ヘロヘロした球をピッチャーに返して、それで気持ちの込めたストレート要求できるんか!
ワレがピッチャーのスタミナとやる気削いでどうすんな!
キャッチャーならの!プレイボールからゲームセットまで、全球、ピッチャーの胸めがけて気持ちのこもった返球せんか!
それが「女房」じゃ!
宗也。
ええ体になった!
ええ表情(カオ)になった!
ええ振りになった!
そして何より、雰囲気がええなった。
ほじゃがのう?
ワレが背負う取る数字はなんなんや?
「1」か?
「エースナンバー」か?
チームが「ここ!」ゆう場面で、なんでワレがライト守っとんな?
「1」ならの?誰でも「付けれる」んじゃ!
「エースナンバー」はの?誰でも「背負えん」のじゃ!
なんで、このチームで、なんでこのメンバーで、この時期にまだ一勝も出来んのな?
こんだけの面々がおって、こんだけのタレントを揃えて、なんでチームの公式戦の天王山のマウンドに!
エースナンバーが立てんのな!
プライド持てや! ワシがやったる! ワシがエースじゃ!ゆうプライド持てや!
わしゃ確信があるわい!
ワレなら、ワレが「目覚め」たら!
中国一のピッチャーになるわい!太鼓判押したる!
リーグ戦第一節の呉昭和戦での!唯一の「光」があったわい!
それが2-1の一点ビハインドで迎えた4回表、この試合初めて三者凡退に抑えたシーン。
全員、全力疾走でベンチに戻ってくる際、誰よりも全力で!誰よりも満面な笑顔で!そして誰よりもワクワクした顔で、オマエが吠えた!
「っっっっっっしゃーーー!!絶対逆転するどぉーーー!!」
その気迫と、そのワクワクした顔が「マウンド」で前面に出たら!
来年、ワシらは1000%、日本選手権で入場行進しとるわい。間違いない!太鼓判押したる!
オトコなら吠えんかい!オトコなら滾らんかい!
これから卒団まで、ワレが7回まで「そのマウンド」を譲るな!
碧海。
変化球、勘で振ってどうすんな?
ランナー1、2塁で、右中間にボールが飛んで、レフトのオマエが一緒になって打球追っかけてどうすんな?
誰がサードのカバーに行くんな?
カットまでの返球をハエが止まるような球で投げてどうすんな?
オマエはビックリするくらいの身体能力と技術は持っとる!
しかし、ビックリするくらい「野球」を知らん。
小学校くらいまではの?勘や技術でどうにもなんねん。
ほじゃがのう?中学、高校からは、考えんにゃ「野球」はできん。
匂いを感じて、「先」を読んで。
大袈裟に言やぁ、一球のファウルの打球だけで、守備位置を変えれるくらいの「嗅覚」を身につけにゃならん。
ランナーの位置を見て、どこに打球が飛んだら、わしゃどの動きをして、どこに走り、どこにボールを返すか?くらいは「最低限」考えとかにゃならん。
それが「ダイアモンド」に足を踏み入れれるヤツの「最低限の資格」じゃ!
変化球も、ストレートも、同じタイミングで同じ振りを100回やったって、10球に1球しか当たりゃあせん。
それが1割バッターよ。
天才・イチローでもの?考えて考えて、手の平が擦り切れるほど振っても、10球振って3球しか当たりゃあせんのじゃ!それがメジャーリーガーなんじゃ!
碧海。先ずはインパクト(バットにボールが当たる)まで、ボールを見い。
わりゃええモン持っとんじゃ!はぁ、勘で野球するのはやめい。
もうちいと「野球」を勉強せえ。そうすりゃワレが一番化けるど。
煌雅。
ワレが一番、声でとんは、誰が見てもよう分かる。
ワレが一番、野球に前向きなのは、誰が見てもよう分かる。
そして、オマエが一番「ビビり」なのも…
分かるヤツが見りゃ…よう分かる。
シャークスはのう?
歴代、一番のキーマンをホットコーナーに置くんよ。
チームで一番、元気のええヤツ、チームで一番のムードメーカー、そいつを必ずサードに置く。
それが「伝統」なんじゃ。
ワシが知っとるだけでも、ウチのサードはとにかくやかましかった!
そして、バカがつくほど元気がえかった。
とにかくのう… 猪みたいに何も考えずボールに向かって真っ直ぐ突っ込むしか脳がなくて…
犬みたいに投げたボールをよだれ垂らして追っかけるしか脳がないヤツらばっかりじゃった。
じゃがのう?わしゃそれを「脳がない」とは言いとうない。
「能がない」が正解じゃ。
そりゃ歴とした「才能」なんじゃ。
そのお手本が、福岡ソフトバンクホークスの松田選手よ。
煌雅。
オマエを見よったら、体から溢れんばかりのエネルギーが滾っての「声」にはまだ見えん。
本当は臆病で、エラーや失敗が恐くて、本当は逃げ出したいくらい緊張しているのに…
その「ビビった自分」を振り払うかのように、自分で自分を上げるために「声」を出しようる風にしか…わしにはまだ見れん。
じゃけ、実際足が動かんもんの?
エラーしたら…速い打球がきたら…セーフティーで狙われたら…
本当は恐くて、本当は逃げ出したいのに、一種懸命声出して、自分でその「弱い自分」と戦っている。
オマエは常に、自分の弱さと負けそうな心と戦っている。
決してスマートじゃない。決して野球は上手くない。
でもワシにはその姿が不思議と「カッコ良く」みえる。
煌雅。ワシには見えるで?
今、ワレの目の前には、ブチぶ厚い壁があろうが?
その壁はのう? いっぺん、クチャクチャになるくらい失敗してみいや?
一試合で10個くらいエラーしてみいや?
ただし!
全部、前に出てきてからの。
恐いで?ビビるで?でものう?勇気出して、全力で前に出てきてエラーしてみいや。
それはわしゃ「エラー」と呼ばずに「勇気」と呼んじゃるわい。
下がってエラーしちゃつまらん。そりゃ勇気として数えん。
そうやって、チームで一番強い「びったれ」になってみい。
そすりゃ、オマエの目の前にある、ぶ厚い壁なんぞ、自然に無いなっとるけん。
直太朗。
棚ぼたか?
今日守ったそのセカンドは、オマエにとって「棚からぼた餅」やったんか?
それとも「奪った」んか?
ワシからみたら、今日のオマエは圧倒的に「前者」じゃ。
奪った!ゆう気持ちが見えてこん。
奪ったる!ゆう気持ちが見えてこん。
なぜなら、シートノックの時点から、オマエに「このポジションは渡さん!」「今日のチャンスを絶対逃さん!」という気迫が全く見えてこんかった。
「あぁ…今日は遥大じゃけ、一翔がショートに行くけぇ…」
「一翔がセカンドじゃったら、ワシはもうないけぇ…」
そんな「気持ち」がこっちまで伝わってきたわ。
じゃけヘロいんよ!送球が!
わしゃ、そいつが気合いが入っとるか、入っとらんかを見るバロメーターは「送球」で判断する。
気持ちが入っとるヤツはの?送球に「命」が吹き込まれとる!
「やったるで!」「おらぁーーー!」みたいなの。
それがノーバンじゃのうてもええわい。ワンバンでも、なんならツーバンでもええわい。
気持ちがこもっとりゃあのう?人間、不思議とキャッチしたとき、「オーーーッケ!ナイボー!」っちゅて声が出るんよ。
翼が一球でも「オーーーーーーッケ!」ゆうたか?
自分で自分をちいそうまとめるな。自分で自分を諦めるな。
あの澄んだ唄声のように。もっと自分に自信を持ってプレーせぇ!
源侍。
煌雅のところでもゆうたがのぅ?
シャークスの要でサードと同じくらい重要なポストが、やっぱりセンターよ。
ここは元気やムードよりも、欠かせんモノがある。
それがなにか分かるか?
それは「信用(信頼)」よ。
ココへ飛んだら、もう大丈夫。
ここに飛んだら安心。
ナインだけじゃない。ベンチだけじゃない。
相手チームにも、そして、球場全体を「同じ温度」にさせるだけの信頼を持たせる魔力。
それがシャークスのセンターよ。
今のところ、ワシが知る限り、シャークス歴代ナンバーワンの「信頼」は、第20期生の「榎 粋世」やろうの。
ワレがその「レジェンド」を超えれるかどうかは知らん。
いや、超えれるかどうかが問題じゃない。
ただ、一つだけ言えるのは、あの試合(秋季リーグ戦の第一節)の4イニング目あたりから、不思議と「あそこに飛んだら大丈夫」と期待させてくれるくらいの「予兆」は感じられた。
エエか?
シャークスのエイトマンは、各チームから嫌がられるんじゃ。
ワレもとことん嫌われえや。好かれたらつまりゃあせんど。
一試合終わったら、グッタリするくらいアタマ使えーよ?
一球一球、守備位置を変えぇ。一球一球、ワレが外野に守備位置を指示せぇ。
内外野がお通夜みたいになったら、ワレの責任ど?
オマエがこのチームの司令塔になれ!
最後に、第27代主将、遥大。
背番号6を付け、チームを指揮するオマエが「マウンドに上がらなければならない時点」で、この船は傾き掛けていることを忘れるな。
オマエの定位置は「そこ」じゃない。
オマエの居場所は「そこ」じゃない。
先ずはオマエが「本来居るべき場所」に戻り、この船の先頭に立ち、誰よりも選手を鼓舞し、ときには厳しく、ときには白い歯を見せて褒め、オマエが舵を切れ!
今のオマエに必要なのは「個人技」じゃない。
30名の選手ひとりひとりを「その気」にさせる「厳しさ」と「優しさ」であることを忘れるな!
多分、オマエが思うとるほど、このチームは強うない。
でも、オマエが思うとるほど、このチームは捨てたもんでもない。
ほんでの…?
多分、お前が思うとる以上に、このチームはオマエの「存在」は大きい。
それは、良くも悪くもじゃ。
オマエをビビッとるヤツも、ようけおるじゃろ。
オマエが苦手なヤツも、ようけおるじゃろ。
でもの?
オマエに笑うてもらいたいモンもブチおるんで?
オマエに褒めて貰いたいモン、オマエにドンマイゆうて貰いたいモン、
そして…
オマエに「ありがとう」ゆうてもらいたいモン。
クソほどおる。
遥大。
いっぺんワシが、マツダスタジアムのスタンドで、オマエにゆうたコトバ覚えとるか?
「オマエはガンボたれのクソガキじゃ。可愛らしゅうもないし、自分のことしか考えちょらん。でもの?そうゆうヤツがてっぺん獲るときは、自分のためじゃなしに、誰かのため、チームのために汗を流すことを覚えたとき、そこで初めて「ホンモノ」になるんじゃ。オマエらはこがなトコで小さい悪さするようになっとらん。一年後、ワレがキャプテンでこのチーム引っ張ってみい。ほんで、たくさんのヤツらを褒めちゃってくれ。笑うて、励まして、悩みを聞いてやって、オマエがこのチームの長男になれ。」
ワシの公言どおり、オマエはキャプテンになった。
わりゃ今、ちゃんと仲間を褒めちゃりょうるか?白い歯みして、笑うて、励まして、壁にブチ当たっとる仲間や後輩の悩みを聞いちゃりょうるか?
いや…
聞いてやれるような「オーラ」を出しとるか?
自分のコトだけで一杯一杯になっとりゃせんか?自分のコトしか考えとりゃせんか?
それをの?遥大。
周りが見えとらん。っちゅうんよ。
マウンドでもそうじゃろうが?遥大?
ボールボールが続いたらどうすんな?
一回マウンド外して。深呼吸して。後を振り返って「打たすどー!」っちゅうて。言やーせんか?
振り返ってみい。遥大。
周り見渡してみい。遥大。
こんだけ人(仲間)がおるんじゃ。
ワレひとりじゃ勝たりゃあせん。
ワレひとりじゃ抱えられりゃあせん。
最後に、ここに名前を連ねられんかった10人の子どもたち。
ここがチャンスじゃないんか?
みんながお通夜みたいになっとる今が!ワレらのチャンスじゃないんか?
なに、諦めとんな?
なに、冷めきっとんな?
はぁ終わりか?もう目がないんか?
スタメンがシーンとしたら、オマエらもシーン…か?
上がってこいや!オマエら!
誰を試合に使うか、ちいと監督コーチを悩ましてみいや!
もっかい言うど?
27期生は19人おるんじゃ。
19人全員で悩みを共有せえ。19人全員でチャブチャブゆうてみい。
19人全員でしっかりミーティングしてみい。
いっぺんに変わらんでええ。いっぺんに変わりゃあせん。
少しずつ、すこしずつ… オマエら「ひとつ」になれ。
ひとつになって、先ずは「チーム」になれ。
オマエら27号丸は…そこからじゃ。
19人全員が仕事をせえ。
そして、大漁の旗を掲げて… ワシらの待つ港に帰ってこい!
待っとるで!