長くなったので最後になりますが、表彰式終了後、スコアボードをバックに記念撮影を撮ってくれという指示がありました。
選手達にその旨を伝えると、明らかにテンションが低いのを感じました。
目の前には優勝を決めた高川学園さんが、満面の笑顔で優勝記念撮影を撮っていました。
だから僕は思わずこう言いました。
「おい2年生!! 今日という日をよう覚えちょけ!!
3年の神宮は今日で終わったが、お前らの神宮は今日が始まりなんじゃ!! 今この瞬間がスタートなんじゃ!!
そのためにも全員前に出て、あの記念撮影の姿をよう見ちょけ!! そして絶対に目をそらすな!!
あの姿と、あの高川の選手が喜びようる顔、その一つ一つをその目によう焼き付けとけ!!
そしてこの光景と悔しさを、来年のこの日まで片時も忘れなよ!!
ええか!!絶対に忘れるな!! この一年でもっともっと大きゅうなって… もっかいこの場所に帰ってくるど!!」
その瞬間、2年生の11名が泣き崩れました。
その姿は、まるで何かの呪縛が解けたような… ようやく何かから解き放たれたような…
悔しさと…安堵が入り交じったような…そんな切ない姿でした。
今まで気丈に結んでいた唇からは… ようやく中2の少年らしい泣き声がもれ、溢れ落ちる涙を懸命に拭いながらも、それでも誰一人として高川学園の記念撮影から、目をそらす子はいませんでした。
その後ろでは…同じように目をそらさず、肩を震わしながら号泣し続ける3年生達がいました。